私たちのまわりには、ゲーム、ギャンブル、買い物など「ハマる」対象はたくさんあります。
この願望は、人間の脳の原始的な性質なので、誰でも依存症になる可能性を秘めているといわれています。
たまにこんな声を耳にします。
「たばこは禁煙外来があるのに、なぜお酒は断酒外来のような治療的な受け皿が少ないのか」
確かに、アルコール依存症の場合、断酒治療を受けるか、まったく治療を受けないかの二者択一を迫られる傾向にありますよね。
最近、少しずつ「減酒外来」が普及してきているようにも感じますが、地域によっては利用しづらさもあるようです。
またアルコール依存症になる人は、メンタル面にも問題があることが示唆されています。アルコールは健康リスクをあげるだけでなく、うつ病との深い関係があるようです。
アルコール依存症の病歴があるとうつ病にかかるリスクは4倍高くなり、逆にうつ病の病歴がある人の4割はアルコール依存を合併するという研究もあるそうです。
精神科医の中井先生はこちらの本で、断酒治療を「酒との別れ」と表現し、治療にあたる原則を次のように述べています。
「アルコールの別れの過程は、禁煙の場合と似ていることが多い。初期に起こる現象だけが違う。酒から別れた初期には軽くても、せん妄(意識障害)に近い状態があると推定している」
また、2日目の夜が苦痛のピークで、禁断症状が出やすいと体験を元に語っています。
しかし、この2日目の1夜の記憶が、逆戻りを防いでくれるとも。その後は向かい風から追い風に変わると記されています。
しかし、アルコールのコントロールは本人の意思だけではどうにもならないこともありますので、依存症から回復するには、専門医療機関への受診やAA (Alcoholics Anonymous)自助グループへの参加が回復を助け力になるでしょう。
最後に、お酒は本来良いものです。人と人を結びつけたり、コミュニケーションツールでもあり、リラックス効果、お料理をおいしくしてくれますものね。
厚生労働省が提唱する「節度ある適度な飲酒」は、純アルコールで1日約20g程度。
20g程度とは、例えば、ビール500ml・日本酒1合・ワイン2杯弱が相当します。
適正飲酒量を守って節度ある飲酒を楽しみたいですね。
また、うつ病の治療だけでなく、向精神薬を服薬している方のアルコールは阻害因子になってしまいますので、投薬中のお酒はお控えください。
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