著、東畑 開人さんの「居るのはつらいよ」
臨床心理士の主人公が精神科デイケアに勤務し、周りのスタッフ、デイケアに通所する方々の成長や変化をとてもコミカルでユーモアたっぷりに描かれているストーリー。
タイトルにもある、居るのはつらいよ。
何かをするのではなく「ただ居る」ことの苦痛や落ち着かなさが次第に「居る」ことの意味を問われ、必要性に気づいていくという展開がなされます。
何もしないことへの無能感や、苦痛と苦悩から襲われる被害妄想など思わず共感してしましまう主人公の思いに次第に引き込まれれていきます。
そして、物語で問われる「ケアとセラピー」。
一見ケアとセラピーは同類にみえるけれど、ケアは傷を癒し、セラピーは傷に向き合うこと。
クライエントがどちらを必要としているタイミングなのかを見誤ると返って傷を深くしてしまうこともあり得てしまうから、セラピストの判断と慎重な対応や経験は必須です。
そんな臨床現場での実際を、様々なドラマ仕立てで描かれ、また軽快に読み進められる一冊です。
その原作を元に「居るのはつらいよ」が漫画になっていました。
個人的には、活字で書かれている細かなニュアンスや表現が好きですが、漫画の良さは視覚から入る情報で感情が伝わるからその気軽さがメリットでもありますね。
今、同じく東畑 開人さんの本「心はどこへ消えた」を読んでいますが、東畑の表現がね、絶妙に面白ろくツボに入るのです。

大学院に行って心理を勉強してたって、臨床心理士として職に就いていたって、人としての悩みは時として同じなんですよね。
わたしも然りです。
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